「そういえば、そんな人もいたね。誰とは言わないけど」

「そうそう、誰とは言わないけど、そいつよりは全然マシだからね」


冗談まじりでそんな話をしていたら、自然と自分も笑顔になっていた。少しだけ元気を取り戻すと、にっしーは部活バッグをゴソゴソし始めた。


「あみちゃんが元気になるように、これあげる」

「なに?くま?くれるの?」


にっしーから渡されたものは、カステラが足の裏に印刷された黄色の小さなくま。


「うん、お土産。さっき見つけたんだ。
可愛いだろ?」

「可愛いけど......。お土産って、いってない人に渡すものじゃないの?さほちゃんとか」


私も一緒にきてるのに、お土産って。
そういえばにっしー、さほちゃんにもお土産頼まれてたけど、何買うんだろ......。


「なんでさほちゃんが出てくるの?
あ、一年にもお土産買ってかなきゃな。
お菓子とかでいいかな?あとでマサと相談しとくよ」


なんか話ずれちゃったけど......。
せっかくくれたんだから、断るのもあれだしもらっとこ。

にっしーこれありがとうね、とさっそくその黄色のくまを学校のカバンにつけた。