にっしーは私の席の反対側の列......真正面の席に向かい、私も自分の席に荷物を置く。


ジャージに着替えるために、荷物の整理をしてから、着替えの用意をして、左隣をこっそり盗み見る。

私の席は部室の一番端なので右隣は壁。
で、左隣はこちらをちらりとも見てくれない、小野くん。


教室ではまるちゃんと小野くんとの三角形、部室に入ればにっしーと小野くんとの三角形。


っていっても、席だけだ。
だって、にっしーとの交際同様、この三角形を気にとめている人なんて誰もいないんだから。私以外は......。



「小野くん、先生が部活始まる前にちょっときてって言ってたよ」

「わかった」


先生から言われたことを伝えると、小野くんはこちらを振り向きもせずに立ち上がる。


部室でも教室でも近くにいるのに、相変わらずそっけないんだから。その背中を見つめてから、すぐに目をそらす。


なんで見ちゃうんだろう。
見たって、気にしたって仕方ないのに。

そう、気にしているのなんて、私だけなんだから。





「アップいくよー!」


しばらくして、みんなが集まり着替え終わったのを見ると、いつき先輩がいつもの号令をかける。

そして、私もいつも通りに練習のための準備をして、いつも通り仕事をする。


......いつも通り、自分の気持ちは見てみぬ振りをして。