どうしても、自分が作るという真人に台所を任せ、莉王はケーキをつついていた。

 なかなか。

 生クリームがミルクっぽくていいや。

 でも、潮とかは、さらりとしすぎてて、厭って言うかもな。

 そんなことを考えながら、台所に立つ真人の背を見る。

 よかった。

 シンク、たまたま磨いておいて。

 安心して、見てられる。

 いやいや。

 女としては失格か。

 そんなことを考えているうちに、それよりもっと考えなければならないことがあるのに気がついた。

 ウサギ ガ

   ヒト ゴロシ……

「真人」

「なんだ?」

 油の跳ねる音の向こうで、真人が訊いてくる。