目を擦ろうとして莉王は驚く。

 手が赤くなって、不思議な形に固まっていたからだ。

「いや〜っ。
 動かない〜っ」

「そのうち、治るだろ」
という真人は呆れているのか素っ気ない。

「真人、握力強すぎ。
 いや、それより、まず、ケーキ食べよう、ケーキ」

 手よりもとりあえず、ケーキが気になり、莉王は台所に向かった。

「おい、莉王。
 まさかそれが朝ご飯か……?」
という声が後ろでしていた。

「本日って、買った日?
 作った日?」
と言いながら、莉王はケーキとジュースを持ってきた。

「……マジかよ。
 寝起きには無理」
と言う真人の前にも問答無用で並べた。

「そういえば、昨日、なんだかおかしな夢を見たんだけど」
と莉王が言うと、

「へえ。
 どんな」
と厭そうにケーキを見ながらも、訊いてくる。