おとなしく寝てくれるかと思ったのに。

 莉王は毛布をかけたことを後悔していた。

 あれで起きたと思ったからだ。

 允は、
「キスなら、この間、一度したろう」
と言ってくる。

「一度してても厭ですっ」

「外国なら挨拶だ」

「此処は日本で、私たちは日本人ですっ」

「ああ言えば、こう言うな」

「それは私の台詞ですよ、もう〜っ。

 なに勝手に手を掴んで、教え諭すように言ってるんですか」
と允の手を振り払おうとした。

 だが、允は、
「それ以上は何もしない。
 約束だから」
と言ってくる。