允は一人トイレに篭城していた。

 あんなに間近に見つめられると、幾ら朴念仁の自分でも、さすがに——。

 コンタクトを外したせいか、酒のせいか、ぼんやりとした表情の莉王はいつもより無防備で可愛く見えた。

 ただ泊めるだけだと莉王に約束したのだから。

 そう思いながら、気配を窺っていると、莉王は風呂に入ったようだった。

 ほっとする。

 この隙にそうっと毛布を取ってきて、寝たふりを決め込むことにした。