「なんでそんなこと言うんです?」

「おかしいじゃないか。
 お前は真人を家に泊めるのに。

 うちには泊まれないのか。
 俺と結婚するのに」

「その貴方と結婚するという大前提がおかしい気がしますが。

 だいたい、真人がうちに泊まったからって、そんなことを言うのなら、貴方が私の家に泊まるべきです」
と言うと、

「いきなりお邪魔したら悪いだろう」
と言い出す。

「そこまでのことを言っておいて、いきなり、遠慮がちになるのは何故ですか。

 あの、女の子が他所のおうちに泊まるのは大変なんですよ。

 コンタクトも外さなきゃいけないし、化粧も。

 肌荒れしちゃうじゃないですか」

「別に、お前は綺麗な肌をしてるじゃないか」

「……素で褒めるのやめてください」
と莉王は赤くなる。

 素で褒めないから、どうやって褒めろというのか。

 自分は計算して動くことなど出来ない人間だ。