立ち上がりながら言う。

「待ってくださいよ。
 そう言えば、貴方、今、呑みましたよね?」

「呑んだが?」

 家だからな、と言うと、

「私、帰りはタクシーですか?
 だったら、早く呼ばないと、この時間はなかなか捕まらないですよね」
と電話をかけに戻ろうとする。

「別に帰らなくてもいいだろう」

「なんでですか」

「泊まっていけ」

「なんでですか」

「お前、最近、真人を家に泊めてるだろう」

「泊めてるだけですよ」

 わかってる、と允は言った。

「俺もお前を泊めるだけだ」