「そんなこと、考えもしなかった」

「あの〜、それって、私がモテないと思っていたってことですかね？」

「そんなことはない。

　だが、お前を見た瞬間、俺が結婚するのはお前だ、と思ったんだ」

　なんて一本気なストーカーだ……。

「あのー、それなんですけど。

　貴方、ずっと出会ったときから、私と結婚するって言ってますけど、その……私のこと、好きなんですか？」

　問うのも恥ずかしいが、ちょっと此処で訊いておかねば、と思い、勇気を振り絞って訊いてみた。

　允は黙る。

　……わからないんだな、と思った。

　このまま、二人で押し黙っていても仕方がないので、莉王は今の正直な自分の心境を告白する。

「正直言って、貴方のこと、嫌いじゃないです。

　最初よりは。

　っていうか、最初驚き過ぎたから、よくわかんなかったんですけど。

　別に嫌いじゃないです。

　好きかと問われたら、わからないけど。

　でも、一緒に居て、緊張しないし」

　それに、楽だ。

　それは、なにより大事なことだと思う。