お互いに気を使って、窮屈に生きるよりは、きっと建設的だ。

「寺を継ぐといっても、普段はまだ父親が居るから。

 仕事もあるし。

 少しずつ寺の仕事を増やしていく感じになると思う。

 だから別に、お前が早朝起きて、雑巾がけしたり、食事を作ったりしなくてもいい」

「あれっ?
 バレてました?」
と苦笑いする。

 自分が何を不安に思っているのか、わかっていたようだ。

 親から言われていたのか、忍や及川たちに、絶対、そこがネックになる、と言われていたのか。

「じゃ、ちょっと言わせてもらいますけど」

 允は、なんだ、という顔をする。

「若いうちは、そういう寺の嫁としての負担もないというのだったら、貴方の許に嫁ぎたいという人はたくさん居るんじゃないんですか?」

「特にそんな話は聞いたことはないが」

 いや、そんな、自分からは言ってこないだろうよ、と思った。

 気安く付き合ってくださいとか言えるようなキャラではないことを自分でわかっていないのだろうかな、この人は。