少し考え、允が言った。

「わかった。
 俺が忍たちの傀儡みたいな動きしかしないのが気になってるんだろう」

 いや、まあ、充分、個性的に動いてはいますけどね。

「じゃあ、俺が思う、お前の行きたい場所に連れてってやろう」

「私の行きたい場所?」

 そんなもの、出会ったばかりでわかるのか、と思った。

 今、行きたい場所と言われて、自分で思いついたのも、せいぜいトイレくらいのものだった。

 さっきから、我慢していたのだ。

 料理も来てない。
 二人しか居ない手持ち無沙汰な状態で、席を立つのもな、と思って。

 行く場所を決めて、すっきりしたのか、允は、

「もう決まったか?」
と訊いて、店員を呼ぶ。

 すぐに来た店員に注文したあとで、莉王は言った。

「すみません。
 お手洗い行ってきます」

 允はもう一度、メニューを見ながら、頷いた。

 よく考えたら、結婚しようかという相手に、そんなに気を使うのも変かな、と思ったのだ。

 いや、しないけど。

 でも、無理をしないといけない相手じゃ、どのみち続かないし、一緒に居て疲れるだろうから、と思ったのだ。