突然、好むところに連れていけ、と言われて、允は困ったようだった。

「……本屋とか」

「いいですねー。
 本屋巡り好きなんで」

「……駄菓子屋とか」

「駄菓子好きなんですか?」
と訊くと、いや、と言う。

「そうか。
 わかった。

 プラモデルですね。
 真人に聞きました」
と言うと、

「まあ、そんなに行くわけじゃない」
と言う。

 少し恥ずかしそうにも見えた。

「あの、別に今日が無理なら、今日じゃなくてもいいですよ」

 何処もこの店を出たときには開いてないような気がするし。

 允もそう思ったようだった。

 だが、急ぎはしないが、実家に引きずられて行く前には行ってみたい。

 そのまま、話が突っ走ってしまうという不測の事態に備え、允のことをもう少し知っておきたいと思ったからだ。