及川とか忍とか、あのじいさんたちとか。

「いや、いいことだと思いますよ。

 貴方はいろんなものに守られている。

 死者にも生者にも——」

 允は黙って聞いていた。

 死者、という言葉に、清香のことを思い出しているのかもしれないと思った。

「此処は、忍がいいと言ったんだ」

 允はそうバラしてきた。

「そうですか。
 やはり」
と言うと、

「やはりってなんだ」
と言う。

「女の子が好みそうで、センスのいい店だからです。

 いえ、嬉しいんですけど」

「ですけど?」

「忍さんに言われた通りに動いている貴方とデートしても。

 忍さんとデートしてるみたいじゃないですか」

 場合によっては、忍ですらなく、及川とデートしている感じになる。

 実際、中継により、ついて来たりもするし。