「なんでも、強く願えば実現する」

「事と次第によりますよ!?」

 今まで、いい言葉だと思って思っていたのだが、その言葉。

「ところで、週末、うちの実家に来てくれ」

「いきなり実家ですか。

 引き返せない感じになりそうなんですけど」

「だから、引き返す必要はないだろう」

「あのー、今、此処に、すごい貴方好みの、強い霊感を持った、霊が祓える女性が現れたら、どうしますか?」

「どうもしないが」

「何故ですか」

「俺は一度プロポーズしておいて、翻したりはしない」

 ……あれが世に言うプロポーズなんだ。

 あまりに恐ろしくて、なんの感動もなかったが。

 万が一、うっかりこの人と結婚しても、娘や息子には語れないな、と思った。

「それに——」
と允は呟くように言う。

「別に俺はお前に霊を祓って欲しいんじゃない。

 霊の話を伝えてやって欲しいだけなんだ」
と。