允の車に乗った莉王は、やばいな、この座席のふかふか、また眠くなる、と思いながら言った。

「それにしても、貴方はオープン過ぎますね」

「何が?」

「だって、あんな風に職場で結婚の話をしたり、迎えに来たりするなんて。

 社内恋愛って、もっとひっそりとやるものなんじゃないんですか?」

「何故だ」

 何故だって……えーっと。

 そういえば、なんでだ?

 所詮、社内恋愛などしたことのない人間なので、よくわからなかった。

「そうか。
 破局したときに、大変だからですよ。

 一緒の職場に居づらくなるでしょ?

 社食とかで行き会わせたりとかしたら、みんなが絶対、観察してるし」

「破局?
 しないから関係ない」

 允はそう言い切る。

「いや、あの、だから、なんなんですか。
 その信念は」