夕方、帰り際の莉王の許に、何処の部署に行った帰りなのか、紙の束を持った允が立ち寄った。
「どうした。
機嫌か悪いな」
「貴方はいつも変わりませんね」
「今日、焼き肉でも食べに行かないか」
奢るぞ、と言う。
「……どうしたんですか、そんな気の利いたこと言って」
「いや、別に」
と允は言うが、莉王は彼に背を向けると、デスクの上のファイルを片付けながら言った。
「最近、なんとなく貴方の行動が読めて来ましたよ。
式の日取りのことですね。
そして、焼き肉に誘えと言ったのは、忍さんですね」
「……何故、わかる」
お前は予知能力者か、と言ったが、まあ、二、三日、この人を観察していると、大抵の人間はわかるだろう。
結構、単純だからだ。