「ないです」

「ない」

「ないですよね」

 ああああ。
 誰も私の味方は居ない。

 私怨にまみれた真人くらいか。

 夕べ、うちに泊まると散々わめいて、家に送り返すのに苦労した。

「大体、あんた贅沢なのよ。

 今どきの男は、こっちから押してかないと、自分から結婚なんて言い出さない奴ばっかりよ。

 お任せします、みたいな感じでさ」
と潮が自分の恋愛経験を交え、文句をたれる。

 潮は以前付き合っていた相手と結婚を考えていたようなのだが、相手がなんでも、

『潮ちゃんが決めてよ〜』
の人だったので、さすがに結婚までそれでは、と痺れを切らして別れてしまった。

 確かに、そういうタイプも困る。