「だからだ」
と允は言った。

「だから、俺には、どうしてもお前が必要なんだ」

 真っ直ぐに見つめられ、どきりとする。

「明るく、みんなが立ち寄れる寺にするために!」

「へえ。
 初めて知りました。

 おととい来やがれって言葉は、こんなときに使うんですねえ」

 莉王は、殴りたい衝撃を抑え、なんとか微笑んでみせた。

 職場なので。

「……なにか怒ったか」

 莉王の表情を見たあとで、允が訊いてくる。

「それはわかるようになりましたか。
 凄いですね。

 じゃあ、十七発、後で殴ってもいいですか」

 そう問うと、
「なにかおかしな増え方してないか?」
と允は言ってきた。