翌朝、莉王が部署内にあるロッカーから出ると、外の廊下で、卯崎が待っていた。

 当然のように此処へ現れる卯崎をなんとかしなければ、と思いながら、莉王はその腕を掴むと、物陰へと連れていった。

 先制攻撃だとでも言うように、莉王が先に口を開く。

「なにか御用ですか?」

「日取りを決めるから、一度、お前を連れてこいと、及川さんが」

「なんでいつも及川さんなんですか」

「総代さんだから」

 うう。

 まあ、そりゃそうなんだが。

「大安でなくともいい。
 急げ、と言ってきた」

「なんでそんなに急いでるんですか。

 何かあれですね。

 売り急いでいる不良物件みたいですね」

 寝不足のせいか、つらつら言葉が口から出るのだが、それが相手を怒らせないか、自信はなかった。

 だが、訊かれれば、つい答えてしまう。