「基本、好きなんだよ。

 憧れてたって言ったろ。

 休みの日、親父の用事で寺に連れていかれても暇でさ。

 そしたら、太郎さんが、ああ、允さんのお父さんね。

 允の部屋に行ってご覧って。

 離れの二階が允さんの部屋でさ。

 側に大きな木があって。

 なんだか秘密の隠れ家みたいで好きだった。

 允さんの部屋には、戦闘機とかのプラモデルがあって、俺が行くと、いろいろマニアックな説明を淡々としてくれるんだ」

「……目に浮かぶようだわ。

 あんたたちは、そういうところで気が合ってるのね」

「だからさ。

 そんな允さんを恨むのしんどいんだよ、俺でも」

 だから、恨まなきゃいいんじゃんとさっきから。

「莉王。
 やっぱり、今日も泊めてよ。

 俺、ナーバスになってるよ。

 こんなとき霊にとり憑かれたりするんだろ?」