「すげえじゃん、花さんと見合いの話あったの? 允さん。

 それ断って、お前なの?

 そりゃあ、不幸になろうとしてるのかも」

 おい……。

「花さんて、そんな凄い人なの?」

「允さんより年上だから、俺の範疇じゃないけど。

 しっかりして、美人で、キャリアウーマン風なのに、こう、滲み出すしっとりとした色気があるというか」

 お前と真逆の人間だ、と言う。

「それはどうも……」

「お前は、しっかりしてなくて、まあ、美人だが、どっちかと言うと可愛い系で、仕事できるのに、ぱっと見、できなさそうで、滲み出す、ぼんやりとした感じ。

 加えて、お前は、モデル風にスタイルがいいだけだが、花さんは、出るとこ出てるんだよな」

「どうしよう。
 卯崎さんより先に、あんたを殺したい」

「いや〜、結構年上だけど、俺、あの人んちには泊まれないなあ、緊張して。

 確か、バツイチなんだよね?

 やっぱ、ああいういい女は、ひとところには落ち着けないか。

 その点、お前は、離婚とかしそうにないな」