「俺みたいに昔から知ってるわけじゃないのに。

 後から来たのに」

 しかし、恋愛とか結婚って、そういうものなんじゃ……。

「だって、今までの積み重ねとか、しがらみとか全部吹き飛ばしてさ。

 結婚したら、それだけで、一番お前の近くに行って、福耳、掴めるんだぞ」

「あの、耳から離れて。

 それから、卯崎さん、別に耳、掴みたくないと思う」

 誰もがあんたと同じ感性だと思うなよ、と思った。

「允さん以外の誰かとお前が見合いとかして、結婚しても、そうなるのか。

 それ考えたら、結婚ってすげえな」

 まあ、確かに不思議な儀式だ。

 それだけで、まったくの他人が家族になるのだから。

 昔なんて、写真だけで見知らぬ相手に嫁いだり嫁がれたりしていたのだし。

「でもさ、俺、今回、あの人の見方改めたよ。

 結構、ちゃっかりしてんだな」

「え?」