まあ、私が真人を見に来ていたと思っている時点で、その目線さえ、読み間違えているわけだが。

 真人が強かったのは確かだ。

 すぐにプロにはなれなくとも、いろいろと道はあったろうに。

 今の状況を野球で言えば、突然、草野球チームみたいなのに入ってしまったようなものだ。

 よくわからない男だ、と思っていた。

 でも、なんだか毎日楽しそうだ。

 仕事して、休みの日には、仲間と練習したり、呑んだり。

 これはこれで、真人に合ってたのかもな、と思う。

「なに人の顔見て笑ってんだ」

「いや、なんか嬉しくて」

「俺と歩くのが?」

「……莫迦じゃないの?」

 ちょっと本気で言ってそうで、怖いんだが、この自信過剰男は。

「なあ、莉王。
 允さんと結婚するなよ」

 明るい夜道を歩きながら、真人は唐突にそんなことを言い出す。