王子だいなしだな、と笑う。

 路地裏から、充分な距離をとって真人は言った。

「莉王、今の話は本当なのか」

「たぶん。
 今までの話を繋ぎ合わせると、それで正解だと思う。

 ただ、自殺するほど追いつめられる霊障っていうのが、ちょっとピンと来ないんだけど。

 基本、生者は死者より強いものだしね」

「俺はよくわかんねえんだけどさー、そういう話。

 まあ、酒呑んで、寮になだれ込んで寝てたら、夜中に女の声が聞こえたことはあったけど」

「それは……本当に女の子が居たんじゃないの?」

 隣の部屋とかに。

「かもな」
と少し真人は笑う。

「でも、話してくれてありがとう。
 よくわかったよ」

「そう? よかった」

 ほっとして、微笑んだとき、真人が言った。

「これで安心して、允さんを憎めるよ」

 何故!?