「じゃあね〜、王子。
 王様、またお会いできる日を楽しみにしております〜」

 いろんな客が出ては入りと入れ替わったが、結局、あのラグビー部とサラリーマンだけは最後まで居た。

 人気のなくなった店内で、
「あー、楽しかった」
と言う莉王に、

「それはよかった」
と忍は笑うが、真人が

「いや、待て。
 お前、楽しみに来たんだっけ?」
と訊いてくる。

 ……そうだった。

「訊かれたくないのに言うのもなんだが、幾らなんでも、本来の目的を逸脱しすぎだろ」

「うさぎさんを呼ぼうか」
と忍が莉王に訊いてきた。

 まるでなんの話だか、察しているかのように。

 真人が眉をひそめる。

「それ、まさか……允さんのことですか?」

 そんな可愛いもんですか、と文句をたれる。