まあ、そもそも、営業の人間の終わったらって言うのもね。

 莉王は時間を持て余していた。

 最初は買い物をしていたのだが、買うものもなくなり、今は忍の店の近くのファストフードの二階で下を眺めながら、スマホをいじっていた。

 先に行っちゃおうかな〜。

 でも、忍さんの店に一人で行くのもな。

 それに、あの手の店はなんだか怖い。

 狭いからか、暗いからか。

 なんだか何処かに売り飛ばされそうで怖い。

 真人にでも言おうものなら、お前を何処に売り飛ばすんだ、とでも言って来そうだが。

 そろそろ限界、と思ったとき、着信した。

「莉王か。
 お疲れ」

 お疲れじゃないよ〜。

「今、何処?」

「まだ、今から戻るとこ。

 五十分くらい、此処から戻ったらかかるから」

「ええっ!?」

「先、行っといて。
 忍さんの店だから、大丈夫だよ」

 いや、忍さんの店だから、一人で行きたくないんだが、と思ったが、そういうわけにもいかないようなので。

「わかった〜」
と小さな声で頷いた。