「ねえ、人殺しってどういうことなのか、やっぱり教えて欲しいんだけど」

 允に自覚がないのなら、真人から聞くしかない。

「教えてくれるまで離さないから」
と真人の腕を掴むと、

「じゃあ、今夜」
と真人は言う。

「今夜?」

「なんかお前と允さんってのが、どうにも結びつかなくて」

「そう。
 じゃあ、行きたい店があるのよ」

 どうにも気になっていた。

 忍のことだ。

 允は随分忍には気を許し、頼りにしているようだった。

 今回の騒動、奴が焚き付けてるんじゃあるまいな、と疑っていた。

「忍さんの店か。

 わかった。
 じゃあ、今夜。

 ところで、莉王。

 根本的な問題なんだが。

 お前、寺に嫁に行ってもいいのか?」

 いつか、絶対厭だとか言ってなかったか?
と訊いてくる。