「……そこんところは別に秘密じゃないな」

「そうなんだ?

 卯崎さんが、女の子たちに、真人は鉄道マニアだって教えてたんだけど。

 嘘だったら、いけないな、と思って」
と言うと、

「あの人、莉王には信用ないんだな」
と言った。

「だって、結構とぼけてるから」

 確かに、と笑ったあとで、真人は真面目な顔になり、言う。

「莉王、本当に允さんと結婚する気か」

「いや、そんな予定はないんだけど」

「じゃ、なんで、允さんは言い切ってんだ」

「いや、ほら、マイペースな人だから。

 なんだかよくわかんない信念持ってるし」

 確かに、と真人は繰り返す。

 渋い顔をしていた。

 生きていく上で、あの信念は邪魔になりそうだと思うのだが、允はそれを気にしたりはしないだろうとも思われた。