「でもまあ、基本、真人は卯崎さんが好きなのよね。

 なのになんで、嫌いとか言ったの?」

 一呼吸置いて真人は表情を引き締め、

「言ったろう。
 あいつが人殺しだからだよ」
と言う。

「だから、それ、どういう意味?

 ほんとに誰かを殺してたら、此処には居ないわよね」

「法で裁けないこともあるんだよ、莉王。

 しかも、本人に自覚がない。

 あいつは自分が殺した人間の葬儀を自分であげて、説教までしていきやがった」

 よくわからないが。

 葬儀から説教までは仕事なので、仕方ないのではなかろうか、と思い、聞いていた。

「答えられないことは訊かないでくれ。

 俺も本当はお前に秘密は作りたくないんだ」

「そう。
 じゃあ、あれも秘密なのかな」

 なに? と冴えない表情で真人が見る。

「真人、鉄道マニアなの?」

 は? と真人は気の抜けたような声で訊き返してきた。