なにもかもをよっ、と思いながら、莉王は、

「允さん、なにかこう、生き急いでませんか!?」
と叫んでしまう。

「そうか?
 忍は俺は、なにもかもスローペースで、見ていて、イライラすると言うが」

 まあ、確かにそんな感じだ。

 いや、のろいとかいう意味じゃなく、世俗のことに興味がなさそうなので、人より人生の決断が遅いんじゃないかと思われた。

 そのわりに、今回は早いが、余程、あの及川の押しが強かったのだろう。

「莉王、まだ食べてるのか」

 こちらの皿を見、允はそう訊いてくる。

 しゃべって、放心して、食べてない。

 しかも、もともとなかった食欲が更になくなってきた。

「早く食べろ」

「食べられません」

「じゃあ、頼むな」

 ごもっともなんですけどね、それ。

 なかなか頼むときには予測できないことで。

 ああ、なにかこう、寺で修行されられている気分だ。

 一生この状態が続くのはやだなあ、と改めて思った。