「いや、三、四日前から付き合っている」

「あの……卯崎さん的には、口をきいたら、付き合っているとカウントされてしまうんですか?」

 力なく問う莉王の言葉さえ無視して、真人を身を乗り出し、訊いていた。

「及川さんたちはなんて?」

 やっぱり、そこで及川かっ、とあの脂ぎったおっさんを思い出しているとと、允は、

「式の日取りを決めろと言ってきた」
と勝手に答える。

 口を開けて聞いていた真人だが、すとんと腰を下ろして言った。

「莉王。
 俺はちょっと展開についていけてないんだが」

「大丈夫よ、私もだから」

 それにしても、この人は、これを社食で言う意味がわかっているのだろうか、と素知らぬ顔をしている允を見る。

 あっという間に噂は広まり、万が一、この話が駄目になろうものなら、私は社内では、バツイチくらいの扱いになってしまうのだが。

 まあ、今更、此処で相手が見つかるとも思ってないからいいような……

 いや、よくないっ。

「卯崎さん、落ち着いてっ」

「なにが?」
と允が目を上げて訊く。