「ところで、允さん。
 莉王とはどういう関係なんですか?」

 お前、社食で何を訊く、と真人を見た。

 なんとなく、周囲に聞き耳を立てられている気がした。

「さっき言ったじゃないか。
 そろそろ寺に戻るから——」

「はい」

「莉王と結婚しようかと思ってる」

「……は?」

 は? と言ったのは、真人だけではないようだった。

 周囲からも同じ言葉がもれていた。

 やっぱりみんな聞いてるしっ、と莉王は慌てて辺りを見回しかけたが、周りと視線を合わせるのも恥ずかしく、結局、俯いてしまった。

「いやー、あのー。
 允さんが莉王と付き合ってるとか、聞いたこともないんですけどー」

 いきなり言われたせいか。

 真人が随分と間抜けな口調で訊き返している。