允は、どうした? という顔をしながらも、

「どうぞ」
と極普通に真人を迎える。

 なんだかこう……

 言いたいことがたくさんあるのだが。

 まず、『人殺し』と真人が允に対して言っていることは、この二人の間では、どう処理されているのか、とか。

 さっき、真人がうちに泊まったことを聞いているはずなのに、そういう意味では無反応なのは、何故なのか、とか。

 まあ、見合いを断りたいだけの付き合いだから。

 嫉妬なんてするはずもないか。

 それに、この人のことは、基本、考えるだけ時間の無駄だ。

 普通の人とは思考回路が違うし。

 私なんかが真面目に考えたところで、さっぱり理解できないに違いない。

 そう諦めながら、莉王は水を多めに飲んだ。

 滅多に食べない社食のカレーがちょっと辛かったからだ。

「どうしたんだ、莉王。
 珍しいな、カレーとか」

 お前、嫌いだろう、と真人が言う。

 よく覚えてたな、と思った。

 こっちは真人が鉄道マニアだってこととえ知らなかったのに。

 いや、まあ、允の情報が正しければの話だが。