そう言うと、莉王はようやく、

「あ、待って。
 じゃあね」
と彼女たちに手を振った。

「……鉄道だ」

「は?」

 いきなりそう言った允に、戸惑いながら、女たちが訊き返す。

「真人がサッカー以外で好きなのは、鉄道関係のものだ。
 まあ、今もかは知らないが」

「あ、ありがとうございますーっ」
と何故か女子二人は赤くなって丁寧に礼を言った。

 莉王とその場を去っていると、後ろから彼女たちの話が聞こえてきた。

「なーんだ。
 天野さんは、卯崎さんなのか」

「柏木さんとも親しいみたいだったね、卯崎さん。

 三人、仲いいのかな」

「ってか、どうやったら、卯崎さんと付き合えるわけ!?」

 恐ろしい人だね、敵でなくてよかった、と笑い合っているのが聞こえてきた。