允が莉王の居るフロアに降りたとき、ちょうど、給湯室から莉王が出てくるのが見えた。
お茶の片付けを済ませたところらしい。
声をかけようと思ったが、自分より先に、女二人が莉王の許に行く。
「お疲れさまでーす」
「お疲れ」
と莉王が陽気に挨拶をする。
さっきの女たちだ、とその声と後ろ姿でわかった。
「すみません。
天野さん、ちょっとお話が——」
「莉王」
と割って入ると、莉王は、こちらを見上げ、出たな、という顔をする。
振り返り、允を見た女たちは、何故か、ええっ!? と激しく驚く。
「一緒に社食に行くか」
と言うと、莉王は、……そう来たか、と呟いたが、
「わかりました」
と答えてきた。