莉王と真人が高校から友だち?

 そんな話は真人から聞いたこともないが、と思ったのだが、そう言えば、莉王が、柏木真人を知っているかと訊いてきたことがあった。

 単に同じ会社だから顔見知りなのだろう、とそのときは思ったのだが。

 そもそもが細かいことを気にする性格ではないので、詳しく追求することもなく、すっかり忘れていた。

 女子たちは、いつまでもひそひそと話している。

 莉王の気の抜けるような笑顔が頭に浮かんだ。

 こんな自分でも真人が社内で人気があることは知っている。

 莉王の評判がこんなことで悪くならなければいいが、と允は思った。

 そう、こんなことだ。
 
 真人との噂なんて関係ない。

 だって、莉王は自分と結婚するのだから。

 何故だかわからないが、允は強固にそう信じ込んでいた。