「その顔。」


薫はそう言って由佳の顔を指差した。


「え?」

「俺はお前のそういう顔が見られればそれでいいんだよ。」


薫はそう言って目を細めた。


「今日のお前、なんか無理してた。」

「え……」

「俺を喜ばせてくれようとしてんのは伝わってきたけど、俺は無理してるお前よりは今みたいな自然体のお前のがいい。」

「……。」

「色々考えてくれてたんだろ?んであんま寝てなかったんだろ?倒れても無理ねぇよな。」


薫はそう言って、由佳の頭をポンポンと叩いた。

そんな薫の言葉に、由佳はフッと笑った。


「なんだ、全部お見通しだったんだ。」

「当たり前だろ。お前は分かりやすいからな。」


薫は呆れたようにそう言った。