帰り道、駅から家に向かって歩く2人の間に流れる空気はどこか重かった。

主に由佳のせいである。

由佳はずーんと肩を落とし、俯いたまま何も喋らない。
帰りの電車の中からずっとこんな調子だ。

そんな由佳を見て、薫ははぁーと大きなため息をつくと、口を開いた。


「んじゃ、今からデート第2ラウンドな。」

「……?」


不思議そうな顔をする由佳の手を引いて、薫は由佳の家とは反対の方向に歩き出した。


「ちょっと…どこ行くの?」

「いいから黙って付いてこい。」


薫はそう言うと、由佳の手を引いたままずんずん足を進めた。


そして薫は、とある河川敷のような場所に辿り着くと足を止め、由佳の手を離した。