バレンタイン前日。


由佳は何故か華代の家で奈津子も含めた3人で、華代の指導のもと手作りのお菓子を作っていた。


「ようやく作る気になったね、由佳ちゃん!」


チョコレートを湯せんしながら嬉しそうにそう言う華代に、由佳は苦笑いしながら頷いた。

どちらかと言うと、作る気になったというよりは、華代のしつこい説教に折れて無理矢理作らされた、というほうが正しい。


「まぁまぁ、そんな顔するなって。薫も多分喜ぶよ。」


奈津子が乗り気ではない由佳を見て、由佳の肩を叩きながらそう言った。


「2回も吐き気がするって言われたのに、喜ぶわけ無いでしょ…」


由佳は不満げに呟いた。