「あの、知り合いに会いに来たんですが…」


由佳は恐る恐る、コンシェルジュに尋ねる。

するとコンシェルジュは、「貴女のお名前と、お会いになりたい方のお名前を教えて下さい。」と言った。

由佳は自分の名前と薫の名前を伝えた。
コンシェルジュはそれを聞いて「かしこまりました。」と言うと、どこかに電話をかける。


「小野寺様、笠原由佳様がお見えです。」


コンシェルジュは電話口でそう言うと、「かしこまりました。」と返事をし、由佳のほうを向いた。


「笠原様、それではご案内しますね。」


由佳はコンシェルジュに案内されて、エレベーターに乗り込む。
まるでホテルのような丁寧な対応に、由佳はどうしたら良いのか分からずまごまごした。


「小野寺様のお部屋は、38階になります。」


そう言って、コンシェルジュは最上階のボタンを押す。


え、あいつ、この超高級高層マンションの最上階に住んでるの――?


由佳は開いた口が塞がらなかった。