「え？」

「だってそこは普通、女の子たちに嫉妬するところだよ？なのに君は彼女たちに同情するんだから、本当に変わってるよ。」


松本先生はそう言って笑った。


「別に優しさなんかじゃないです。自分と重ねてるだけで…」

「それを優しさって言うんだよ。」


松本先生は由佳の目を見て微笑みながらそう言うと、続けた。


「でも由佳ちゃんは大切なことを1つ忘れているね。」

「…何ですか？」

「確かに君の気持ちと他の女の子たちの気持ちは同じかもしれない。…だけどね、薫がその中から君を選んだんだよ。」

「……。」

「一緒にいる資格が無いなんて言うことは、薫の気持ちを否定していることになるよ？」

「…だけど小野寺薫は私のことが好きなようには思えません。」


由佳が曇った顔でそう呟くと、松本先生は言った。


「俺は薫が中途半端な気持ちで誰かを好きになるなんて思えないけどな。」

「……。」

「あいつもちょっと不器用なところがあるから、あいつなりに色々考えてるのかもしれないよ。」


松本先生は落ち込む由佳を見ながら、優しくそう言った。