学校に着くと、早速華代と奈津子に呼び止められた。


「昨日、どうだった?」


2人は興味津々に由佳にそう尋ねる。


「あー、まぁ普通だったよ。」


由佳は笑いながら嘘をついた。

自然な笑顔を作ったつもりだが、きっとその笑顔は引きつっていたことだろう。

だが由佳は2人に真実を話す気にはなれなかった。

話したところで、呆れた顔をしながら長々と説教を受ける羽目になることは目に見えていたからだ。


その時、タイミング悪く和也が由佳たちのもとにやって来る。

マズい、と由佳は思った。


「笠原〜昨日…」


和也が由佳にそう言いかけたところで、由佳は和也の腕を掴んだ。


「桐島!ちょっと話したいことあるから来て!」


由佳は和也の腕を引いて、教室を飛び出した。