あの子だけに限らない。

今日薫にチョコをあげた女の子たち全員の薫に対する気持ちは、きっと偽りのないものだろう。

由佳が薫に想いを伝える時に散々悩んで涙したように、あの子たちだってそれぞれ色んな思いを抱えてきたに違いない。


そう考えると、由佳は自分と彼女たちを重ねずには居られなかった。

それどころか彼女たちには、薫に彼女がいるという事実を知りながらも、それでも想いを伝えようとする気持ちの強さがあるのだ。

隣を歩く権利を持ちながら、少しの勇気も出せずにチョコも渡せないような由佳とは大違いだ。


「私なんかより、あの子たちの気持ちのほうが、全然強い…」


由佳はそう考えると、何だか自分1人が置いていかれたような、とても孤独な気持ちになった。

薫が自分のものではないような、どこか遠くの世界の人のような、そんな気持ちになったのだ。


「私、本当に小野寺薫と付き合ってていいのかな…」


由佳は呟いた。