「あの…好きです!」


由佳が玄関のほうへ向かっていると、そう言う女の子の声が聞こえた。

由佳はとっさに靴箱の陰に隠れる。

きっとバレンタインだから、誰かが好きな人に告白しているのだろう。


邪魔しないように、告白が終わるまで待とう――…。


由佳はそう思った。

だがその次に聞こえてきた言葉を聞いて、由佳は耳を疑うことになる。


「入学した時から、ずっと小野寺くんのこと好きでした…」


由佳の心臓がドキンと音を立てた。


小野寺くん――?


嫌な予感がして、由佳が靴箱の陰からこっそりと声のするほうを覗くと、そこには大人しそうな女の子と薫が、2人で立っていた。


由佳の嫌な予感は見事に的中した。




薫が告白されている現場に遭遇してしまったのだ。