「「はぁ?」」
由佳の話を聞いた華代と奈津子は、声を揃えてそう言った。
「女子たちが小野寺くんにチョコを渡したそうだったから、小野寺くんを置いて逃げてきたぁ?」
「あんたって、ほんとバカ!」
華代と奈津子は、呆れたようにため息をついた。
「あんたね…仮にも薫の彼女なんでしょ?こんな日に薫を1人にしてどうすんの!」
奈津子は由佳に向かって怒ったようにそう言う。
「そうだよ!自殺行為にも程がある!他の女の子に小野寺くんが取られてもいいの!?」
華代も奈津子に続いて由佳に追い打ちをかけるようにそう言った。
「そんなこと言われても…」
由佳はそう言って頭を抱えた。
正直、由佳は圧倒されたのだ。
薫が女子から絶大な人気を誇っていることは十分に承知していたが、あれほどの女子たちが薫にチョコをあげるのかと思うと由佳は目眩がしそうだった。
いや、それどころかあんなのはまだ序の口に過ぎないのだ。
薫の人気を改めてこの目で目の当たりにし、由佳は精神的に大ダメージを受けていた。