「由佳ちゃんって、自分から小野寺くんに甘えたり、想いを伝えたりしてる?」

華代は尋ねた。


「しないよ。それに想いはこの前告白したから知ってるでしょ…。」


由佳がそう答えると、華代は呆れたようにため息をついた。


「あのね、由佳ちゃん。恋愛っていうのは告白して終わりじゃないの。そこからどうやって愛を深めていくかが重要なんだよ?」


華代は由佳の肩に手を置きながらそう言う。


「いくら由佳ちゃんが小野寺くんを好きでも、小野寺くんがずっと由佳ちゃんを好きでいてくれるとは限らないよ?」


華代の言葉に、由佳の胸がチクリと痛んだ。


確かにあの告白の後、由佳と薫は何事も無かったかのように前と同じ関係に戻った。

あんな夢のような出来事がまるで嘘のように、2人の間には何も無いのだ。

由佳がその状況を全く不安に思わなかったわけではない。

由佳だって何度も、薫はあの時雰囲気に流されただけだったのではないかと考えた。

だがその度に由佳は「小野寺薫はそういう性格なんだ。」と自分を納得させてきた。