雅人くんを駅まで送ろうとしたら、

「駅から家まで一人で帰すのは心配だよ」

と言って、家のそばの公園で少し話すことにした。



「ふたりっきりになれて嬉しい」

正直な気持ちが言葉になる。

だって、またしばらくは会えなくなるから。


「ゆり、無理していい子を演じたりすんなよ。

俺は、そのまんまのゆりが好きなんだから」


「雅人くんって、なんでもお見通しなんだね」

「ゆりがわかりやすいんだよ」



繋いだ手が、あったかい。



「そうだ、明日どこへ行くの?」

「んーと、俺んち」

「へっ?」

「俺の家族にも紹介したいから」

「そ、そんな、心の準備が」

「だいじょうぶ、ちゃんと話してあるから」