少し開けた窓から風が入り込んで来る
教室にいる私たちの熱気を少し奪いなから廊下に流れていく
洗濯物があっという間に乾きそうな日の光を浴びながら、窓側の一番後ろの特等席でぼんやり外を眺めるのであった。

他のクラスが体育やっているようで声が聞こえる
青いラインの体育着を着ているので同じ学年のようだ
さっきの休み時間にも見かけたから、1.2組の合同であろう
チラホラ知る顔もあるが未だ話したことのない子もいる
準備運動を済ませ、男子は外周走に出てしまった。かわいそうに
女子はボールをゴロゴロと出し始めたのでサッカーが始まるようだ
教室で授業を受けてるよりも楽しそうだな
私も呪文のような授業を聞いてるよりも、これから始まるサッカーのゲームをみている方が楽しいに決まってる

こういうチーム戦をみていると、話したことがなくとも、だいたい性格がわかると思う
ボールを積極的に奪って攻撃する子
真ん中あたりでウロウロしてる子
ゴール付近で固まってる子
だいたいこの3つに分けられる。
社会の縮図のさらに縮図のようだ
クラス分けしてすぐだからより分かりやすい

しかし、その社会の縮図の縮図の中をせわしなく動いている子がいた
髪をポニーテールにして、太陽の下を走り回るには似合わない白い肌
頬をピンクに染めながら色々な子に声を掛けながら動いているようだった

たしかあの子、羽山さんだっけ
1年の時に可愛い子がいると男子が騒いでいた気がする
女の私からみても綺麗なんだから、そりゃ男子から人気もでるでしょう

ゲームは割と本気でやっているようだ
片付けでも賭けているのだろう
接戦だった
残り15秒 4対4の同点
このままだと両方片付けだ

その時だった、羽山さんがぽーんと蹴ったボールがネットを揺らした
歓声があがる
彼女がやった!と拳をあげた瞬間目があった気がした。
照れたような顔をした後、くしゃっと彼女は笑ったのであった
この時私の知らない感情が胸の中に落ちたのを感じた。