そう言いながらあたしの横に流した髪を拾い上げて。



……ドキッ…



「まぁ別に俺は彼氏でもよかったんだけど…」


「…えっ?//」



いたずらっぽくニヤッと笑うと

ポンッ、とあたしの頭に手を乗せた。



「んじゃ、行くぞ」



そのまま一歩前を歩き出すアユ。



「あっ、うん。待って…!」



慌ててあたしも後ろから追いかける。


でも草履だからいつもみたいにスタスタ歩けなくて。



わぁ、ちょっと!

アユ歩くの早いよ〜…


なんて思ってたら、すぐまた立ち止まってこちらを振り返った。



「プッ、やっぱお前どんくせぇな」



…はぁぁっ!?



「ちっ、違うよ!

草履だから歩きにくいんじゃんか!!」



あたしがムッとして言い返したら、パッと手を差し出された。



「…ん、」


「へっ?」


「手…」