「泣きすぎ。」



そう言って、愁くんは手であたしの頬をそっと包み、あたしの涙を拭いてくれる。





「ほ、んと、に?本当に、、あたしでいいの?」



あたしがそう聞くと、



「ゆらがいい。」



愁くんは、はっきりとそう言ってくれた。





あたしは愁くんの腕の中に飛び込んだ。



愁くんがぎゅーっと、強く力を込めて抱きしめ返してくれる。




愁くんの腕の中はやっぱり温かくて、、


すごく幸せで、、





「ゆら、俺は、記憶が戻ったわけじゃない。でも、もし記憶を失くす前、誰かと付き合っていたんなら、それがゆらであってほしいと思う。俺のそばにいてくれた人が、俺が好きだった人が、ゆらであってほしいんだ。」


「愁くん、、」





十分だよ、、愁くん。



記憶が戻ってなくても、


いままでの思い出を失ってても、



それでも、また、愁くんがあたしを好きだと言ってくれた。



それだけで、、あたしは幸せだよ。






「あたしも、愁くんが好きだよ、大好きだよ。」



あたしが愁くんの顔を見上げて言うと、愁くんは、嬉しそうに笑ってくれて、



「よかったー。ふられたらどうしようかと思ってた。嫌いになったとか言われたら俺、、」



そんなこと言う愁くんが、愛おしくてしょうがない。



頭をなでたい気分。ふふふ。